2022年秋から行っていたキャベツの試験結果は日本で実験してみましたシリーズNo.4でアップさせて頂きましたが、同時期にレタスのマルチ栽培におけるYara化成の肥効試験も行っていましたので報告したいと思います。昨年2022年6月に、とある取引先にて少々変わった植物由来の原料残渣を堆肥化したもののサンプルを2種類手に入れる事が出来ました。非常に繊維が多くフカフカしている形状をしており土壌の物理性の改善に効果的では???と思い、我が試験圃場にはうってつけの資材と感じたので試験サンプルを頂き7月に1t/10aの割合にて圃場に場所を分けて2種類の堆肥を土壌に施用し、使用した堆肥サンプルが若干発酵しきれてない感じがあったので夏場の腐熟促進効果を狙って弊社が輸入販売しているドイツ製の石灰窒素「ペルカ」を30㎏/10a同時施用して耕うん機にてすき込み7~9月の約3か月間放置した後に試験を行いました。
「ペルカ」は窒素を21%、アルカリ分を55%含有する肥料です。肥効はジシアンジアミドの効果等があり緩効性で土壌吸着が強いので結構しつこい緩効性の肥効を示します。
堆肥中の窒素成分は非常に低く、今回の施用は夏の高温期の施用でしたのであまり窒素肥効としては計算しなくて良いとの判断をしたのですが・・・
一体生育推移はどうなったのでしょうか?
〇試験概要
200穴セルトレイに2022年8月29日に播種し25℃の室内にて発芽させて高温下で育苗を実施しました。品種は「極早生シスコ(タキイ種苗)」です。
事前に荒起こしをしてあったので2022年9月26日に苦土石灰と元肥を施肥して、耕うん後120㎝幅の高畝を作成して、マルチを設置して株間20㎝間隔にて2条(条間40㎝)で定植をしました。変わらず小面積での試験ですが計算上6864本/10aの株が入るような設定になっております。
施肥についてはマルチ栽培なので元肥のみでの栽培になりました。施肥量は各区共にN=20㎏/10aに統一して施肥しました。苦土石灰の施肥量は100㎏/10aです。
今回の施肥設計をまとめたものです。
〇生育推移
キャベツ試験時と変わらず業務多忙で出張が多く、播種後30日経過した苗を定植する事になりました。キャベツのように苗質を何とか出来れば良かったのですが、そもそもレタスはどちらかと言えば冷涼な気候を好む作物ですので ただでさえ根量が少なく、葉厚も薄い苗しかできない時期に老化苗にして植え遅れた最悪のスタートになってしまいました。「こんな苗を植えても試験になるのかな?」と疑問を持ちつつ定植しましたが案の定、苗が立たずにマルチの上に倒れてしまい、暑さで葉が焼けるなどして欠株も発生して散々な初期生育になってしまいました。非常に残念な状況でした。
正直、この状況を見て泣きそうでした・・・
本当にレタスになるのかな???半信半疑でした。どうなったか見たいですよね・・・
定植後17日の10/14の生育状況です。
若干の欠株はあるもののレタスらしくなりました。ほっとしましたが今後の生育推移が心配でした。ただ私のイメージとしては施肥設計で投入した以上の肥効が出ているような印象を受けました。堆肥投入の効果が土壌の物理性、化学性に影響を与えている印象でした。
11月4日に生育調査を行いました。結果を下記に示します。
葉面積指数:外葉の最長幅の縦と横を掛けた値。この値が高いと外葉肥大が進んでいる証拠
各区共に生育は旺盛であり外葉の肥大も急激に進んだ印象でした。
葉色は各区共に差がない状況で、葉面積指数は試験区②が一番大きい結果になりました。
ただ欠株がある為か生育にバラつきがあり、同試験区内でも個体間の生育差が大きいので実際見ると調査結果通りの生育には見えませんでした。
その時点で気付いたのですが当試験圃場は砂壌土で地力はないような圃場の割には非常に旺盛な生育をしているのは「ペルカ」の肥効が影響しているものと思いつきました。
ペルカは石灰窒素なので肥料的な使用方法と農薬的な使用方法があり、今回は肥料的な使用方法にて使用しました。(30㎏/10aを堆肥施用と同時に施肥)窒素成分は21%なのでN=6.3㎏/10aの割合にて施肥しましたがそれ以上に肥効が出ているように感じました。
皆さんが作付けをする際にも地力窒素が低く生育後半の生育が物足らなくなるような圃場があると思いますが、そのような圃場には施肥設計に「ペルカ」を通常肥料と併用してみると良い効果が出るのではないかと思いました。肥効以外でも雑草の防除効果等色々な機能がありますので一度ペルカのサイトを見て頂けると良いかと思います。
石灰窒素ペルカ® | 石灰窒素は世界で認められた優れた農薬肥料です。 このホームページが、石灰窒素の使用場面を広げ、効果的にお使いいただければ幸いです。 (perlka.jp)
11月17日の写真です。
ただ肥効差が出るような感じは全くなく、土作り効果が前面に出たような生育になりました。施肥量が結果として多すぎた場合は元肥の効果差は出にくい事を感じました。
12/7~8に収穫を実施しました。
収量調査結果
10a当り計算収量・・・6846株/10a植付株数として収穫球率85%と仮定した。
規格別個数
収量調査の結果は試験区③の総重量が重くなったが外葉の重さが重くなった事が要因であり結球重においては各区共に大差ない結果となった。収穫物のサイズは各区共にL~2L揃いとなり、揃った大きい球が収穫出来た結果となった。肥料試験としては施肥量が結果として多かった設定であったという結果でしたが綺麗な収穫物が穫れたのでこのような施肥設計も有効である事が経験出来ました。
また地力窒素が少なかったり、肥料流亡がしやすい圃場において「ペルカ」の施肥は有効である事もわかったので今後はYara化成とコラボしたような施肥設計を考えてみたいと思いました。
このような試験結果を踏まえて新しい肥料の使い方を提案する事を目標に今後も試験を継続して行きたく思います。
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