概要
農地を相続により取得した場合の手続きについては、土地を相続により取得した場合の手続きの他に特別な手続きがございます。相続が発生してからすみやかな対応が求められます。
所有権の移転登記(名義変更)
◇ 手続先・・・管轄の法務局
相続等の届出制度(農地法第3条の3)
◇ 手続先 ・・・相続した農地がある市区町村の農業委員会
相続した農地が複数ある場合にはそれぞれの農地のある市区町村の農業委員会
◇ 期 間 ・・・相続の開始があったことを知った日から10カ月以内
◇ 罰 則 ・・・提出を怠ったりすると、10万円以下の罰金が科されることもある
◇ 記載事項・・・①農地の権利を取得した者の氏名等
②届け出に係る土地の所在等
③農地の権利を取得した日
④農地の権利を取得した事由
⑤取得した農地の権利の種類及び内容
⑥農業委員会によるあっせん等の希望の有無
相続税の納税猶予の特例の概要(特例制度を受ける場合のみ)
◇ 提出先 ・・・被相続人の住所地の税務署
◇ 期 間 ・・・相続の開始があったことを知った日から10カ月以内
◇ 被相続人要件・・・次のいずれかに該当する人であること
①死亡の日まで農業を営んでいた人
②農地等の生前一括贈与をした人
③死亡の日まで相続税の納税猶予の適用を受けていた農業相続人又は農地等の生前一括贈与の適用を受けていた受贈者で、一定の事由により農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出をした人
④死亡の日まで特定貸付けを行っていた人
◇ 相続人要件・・・次のいずれかに該当する人であること
①相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる人
②農地等の生前一括贈与の特例を受けた受贈者で、特例不可年金又は経営移譲年金の支給を受けるためその推定相続人の1人対し農地等について使用貸借による権利を設定して、農業経営を移譲し、税務署長に届出をした人
③農地等の生前一括贈与の特例を受けた受贈者で、一定の事由により農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出をした人
④相続税の申告期限までに特定貸付けを行った人
◇ 相続税の申告手続き・・・相続税の申告書を期限内に提出するとともに納税猶予額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要がある。なお、申告期限までに分割された農地等でなければこの特例を受けることができない。
◇ 相続税の申告後の手続き・・・納税猶予期間中は、相続税の申告期限から3年ごとに、引き続きこの特例を受ける旨及び特例農地等に係る農業経営に関する事項等を記載した届出書(継続届出書)を提出しなければならない。
石井宏(石井宏税理士事務所)
東京都武蔵野市にある税理士事務所です。最寄駅はJR中央線・京王井の頭線の吉祥寺駅で、住みたい街ランキングの上位に選ばれる人気の駅です。井の頭公園など、自然や公園が多いことや商業施設や飲食店が充実しているのが特徴です。 現在、上場会社の関係会社からオーナー系中小企業、不動産オーナーなど、様々な規模の法人個人の税務、会計の関与をさせていただいております。また、資産税(相続・贈与・譲渡等に関する税金)に関する相談においても多数実績がございます。 農業の事業や法人化について、税務・会計分野のサポートをさせて頂きたいと思っております。(現状、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少していますが、農業経営体のうち、法人経営体数は増加傾向で推移しております。)農業を法人化した場合にはどのようなメリットがあるのか?デメリットはないのか?さらには将来の事業承継のビジョンまで、専門的な立場から経営者の皆様と共に考えていきたいと思います。 (日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格者) |