御無沙汰しております。金峯です。
今年、名古屋は5/29に平年よりも1週間程早目に梅雨入りしました。梅雨入り後は雨が定期的に降りましたが天気によっての気温の高低が極端になっており、ジメジメして蒸し暑い日が続きました。
そんな状況のなか、3月から「日本で実験してみましたシリーズ」の6回目となる栽培試験を開始しておりました。
今回は早生のエダマメにYara化成を使用した場合に有機化成と比較してどのような結果になるのかを試験してみました。早生のエダマメは播種から収穫までの期間が今回の試験では約3ヵ月(3/20播種、6/20収獲)であり、平均気温が10~15℃の低温期に播種するのでしっかりとした初期生育を確保して徐々に昇温する中でも安定した肥効を示すYara化成が有効ではないかと思い、実証試験をしてみました。結果を報告したいと思います。
〇試験概要
品種は「ビアフレンド(タキイ種苗)」です。(名前が何とも素敵ですね!)
播種1週間前に土壌のpH矯正の為に苦土石灰を150g/㎡を施用して1回目の耕うんをした後、2023年3月20日に試験区毎に元肥を施肥して、耕うん後100㎝幅の平畝を作成して、株間25㎝間隔で2条(条間50㎝)にて2本/株 仕立てになるように播種をしました。
変わらず小面積での試験ですが計算上 約6000株/10aの株が入るような設定になっております。
施肥設計については元肥の施肥量は窒素成分で10.5g/㎡にて統一しました。
(今回も あえてリン酸、カリの施肥量は考慮しておりません。)
各区の施肥設計をまとめると以下の通りです。
- 有機化成280(グルソーユーキ赤)は有機窒素が1.3%含有した肥料です。
- Yara217はN,P,Kの他にMg2%、Fe0.2%、亜鉛0.04%を保証成分、効果発現促進材として含有しております。
土壌分析の結果としてはpHと置換性カルシウムが低かった以外は適正範囲内の分析値でした。
〇生育推移
4/5(播種後16日)の状況です。
発芽が揃うのに思ったよりも時間がかかりましたが、播種した場所は全区共に全て発芽をしました。
葉色が濃く、胚軸が短い傾向のある寒い時期の発芽状況そのものでした。早い株は初生葉が展開して来ており、発根も種子根がじっくり縦に伸長した感じの生育でした。
Yara N555
Yara 217
グルソーユーキ赤(有機化成280)
5/1(播種後42日)の状況です。
4月は目まぐるしく気候が変化したので 気温の高低が激しかったですが4月中旬からの平均気温上昇に伴い生育も進み5~6葉期まで生育が進みました。綺麗な葉色にて生育していました。
Yara N555
グルソーユーキ赤(有機化成280)
調査結果としては草丈についてはほぼ同じ値になっていますが主茎長(茎の長さ)はN555>217>グルソーユーキ赤(有機化成280)の順になっており、低温時での初期生育下でもYara化成はしっかり生育しており、特にN555はバランスの良い生育をしているようでした。他の測定項目には大差ない結果でしたが、やはり低温時でも早く肥効が出やすいYara化成の特長が出ているようでした。
5/31(播種後73日)の状況です。
5月の平均気温は上~中旬は15~20℃、下旬は20~25℃となり生育が進み、出張に出ている間に開花し、莢の肥大も進んでおりました。莢は下位節間から上位節間までびっしり付いている印象であり受粉時の栽培環境が良かったように感じました。
Yara N555
Yara 217
グルソーユーキ赤(有機化成280)
しかし5月の生育スピードは非常に早くびっくりしました。5/1の写真と比較して頂ければあっという間に生育が進む事が分かって頂けると思います。
初期生育を旺盛にして安定した肥効にて樹勢のバランスを取り自然に生育させる事の重要さを改めて感じました。今回は施肥設計としては元肥のみの栽培なので生育の様子を見てれば良いパターンですが、長期間に亘って収穫する作物で追肥を定期的に行うような施肥設計の場合は如何に適期に追肥を施して、樹勢のバランスを取りながら自然に栽培する事が重要になります。Yara化成はN555、217、L366等の銘柄共に土壌水分に速やかに溶けて施肥後の肥料の各成分の吸収が早く、作物体内への取り込みが良くなる事で肥効も持続しますので追肥にも向いた肥料です。是非作物の特長に合わせて幅広い使い方をして頂けると良いかと思います。
その後も下葉の黄化もなく順調に子実の肥大も進み無事6/20(播種後93日)に収穫を迎える事が出来ました。(少々ですが収穫遅れの感じはありましたが・・・)
収穫時の写真を添付します。
Yara N555
Yara 217
グルソーユーキ赤(有機化成280)
Yara 217の子実肥大の状況
(3粒莢が多かった)
Yara 217の根粒菌の様子
(意外に多く大きい根粒が着生していました。)
収穫物の画像
Yara N555
Yara 217
グルソーユーキ赤(有機化成280)
下段左:N555、下段右:217、上段:グルソーユーキ赤(有機化成280)
収量調査結果
栽培試験としては収量も平均的な値になっており、まずまずの試験になっているものと思われました。
収量調査結果については地上部茎葉重、莢総重、莢総数においてYaraN555、Yara217が良い結果になりました。莢総数の差で収量差が出た感じでした。(全般的に3粒莢が多い印象でした。)
Yara化成の肥効特性にて花芽分化前からの体内窒素を始めとする各要素の維持、安定が出来た結果良い生育状態になり、収量増の結果につながったものと思われました。
Yara化成は幅広い作物に使用出来る肥料ですので各銘柄の成分を使い分けて頂き、御使用頂ければと思います。収穫物は当然ですが美味しく頂きましたが穫れたてのエダマメとビールは 格別な味わいでした。
以上
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金峯浩(明京商事株式会社)
明京商事㈱の親会社である「日東エフシー株式会社」に勤務して30年余り。 Yara社が掲げる“生産者中心 Farmers-Centric”の理念に共感して、生産者様が 今後“GRWRSに掲載されているYaraの海外事例紹介記事の内容を参考にして栽培試験を実施。栽培を日本の環境で行った場合の率直な感想と気付いた点を分かりやすく生産者様に伝える事が出来たらと思っております。 また栽培現場にてお会いする事もあると思いますので今後共よろしくお願いします。 |