世界最大の老舗肥料メーカーYaraは、世界各地に拠点を持っていますが、主な拠点の1つにイギリスがあります。
Yaraのイギリス法人は、イギリス国内だけでなく、ヨーロッパ各地の農業者を対象に農業科学の情報を提供しています。
ファーマーズ・アカデミーでは、Yaraのイギリス法人が提供している農業科学の情報を日本語に翻訳し、シェアすることを活動の1つとしています。
なぜ、イギリスなのでしょうか?
<日本とイギリスの共通点>
日本とイギリスには農業に限らず様々な共通点があります。
・島国であること
・海洋国であること
・いわゆる先進国であること
・立憲君主制であること(日本には皇室が、イギリスには王室があります)
・議院内閣制であること
農業に関していえば・・・
・農業人口が少ない
・食料自給率の低さが課題となっている
という点が共通しています。
ただし、イギリスの食料自給率はこの半世紀で大幅に改善しました。
年(西暦) | イギリスの食料自給率 (カロリーベース) |
日本の食料自給率 (カロリーベース) |
1965 | 45% | 73% |
1970 | 46% | 60% |
1975 | 48% | 54% |
1980 | 65% | 53% |
1985 | 72% | 53% |
1990 | 75% | 48% |
1995 | 76% | 43% |
2000 | 74% | 40% |
2005 | 69% | 40% |
2010 | 69% | 39% |
(出典:農林水産省)
イギリスは、18世紀に起きた「農業革命」により農業生産力が向上しましたが、その後に起きた「産業革命」により人口が増え、働き手が農業から工業にシフトした結果、増大する食料需要を国内生産だけでは賄えなくなりました。
要するに、農業生産力は上がったけれども、胃袋はもっと急激に大きくなった、ということです。
その後、イギリスの国力は増大し、世界の覇権を握るまでに至ったのは歴史が語るとおりです。
工業化が進むのに反比例し、イギリスの食料自給率は低下していきました。
上の表にもあるとおり、最低で45%にまで落ち込んでいます(1965年)。
しかしその後の半世紀でイギリスの食料自給率は大幅な回復を見せました。
昨今ではおよそ70%となっています。
いっぽう日本では、過去半世紀の食料自給率は下降線をたどっており、まだ回復の兆しが見えていません。
上の表にはありませんが、最新の数字では、38%にまで落ち込んでいます(2016年)。
イギリスの食料自給率を押し上げた原動力には政府の施策を含めさまざまな要因があったと思われます。
その中でも、農業科学が発展し、その成果を実践した結果、農業全体で収量がアップしたことも見逃せません。
すなわち・・・
・共通点の多い日本・イギリス両国だが、イギリスは一足早く食料自給率を回復した
・そのイギリスの農業から、日本が学ぶことは多いだろう
・そのキーワードの1つが「農業科学」である
ということが言えるのではないでしょうか。
まとめ
イギリスが日本に先立って食料自給率を回復させた要因の1つに農業科学があります。
Yaraのイギリス法人はその農業科学の情報を提供しています。
ファーマーズ・アカデミーは、その情報を日本語に翻訳することを活動の1つとしています。
本記事は、Yara英国法人提供の農業科学情報をGRWRSが翻訳、記事化し掲載しております。
Yara International ~世界最大の老舗肥料メーカー~
Yara Internationalは、ノルウェーに本社を置く世界最大の老舗肥料メーカー。
しかし、ただ肥料を供給しているだけではありません。世界人口の増加や 異常気象・地球温暖化といった問題により生産環境・食料事情が厳しくなる中で、「環境に優しい農業」をどうやって実現するのか?という課題に取り組んでいる「環境企業」でもあります。
また、Knowledge Grows というスローガンのもと、100年を超える長い歴史を通じ、世界各国の農業者にアグロノミー(農業科学)の最先端の情報を惜しみなく提供してきました。肥料メーカーでありながら、その本質は情報提供者であり地球環境を真剣に考える教育者・啓蒙者でもあります。